2025/10/30
『クレアチニンは1日の中でも変動する』
検査で使うクレアチニン 上下20%の枠で考えましょう
健康診断などでよく耳にするクレアチニン。主に腎臓の機能を測る指標として知られていますが、「いつ測るか」によって値が変わる可能性があるのをご存知でしょうか?
クレアチニンの値が一日の中でどのように変動するのか、その「日内変動」のメカニズムと、検査を受ける際の注意点について解説します。
1. クレアチニンとは何か?
クレアチニンは、主に筋肉を動かすエネルギー源であるクレアチンの最終的な老廃物です。
筋肉がエネルギーを使う際に日々一定量生成されます。
血液中に放出され、腎臓の糸球体でろ過されて尿中に排泄されます。
そのため、血液中のクレアチニン濃度(血清クレアチニン値)を測ることで、腎臓が老廃物をどれだけしっかり排泄できているか、すなわち腎機能を評価する重要な指標となります。
2. なぜ値が変動するのか?「日内変動」のメカニズム
クレアチニンは体内で比較的安定して生成されますが、一日のうちでわずかに値が変動することが知られています。これが日内変動です。
| 要因 | 影響 | 詳細 | ||||||||
| 食事 (特に肉類) | 上昇 | 食事、特に肉などのタンパク質を多く含む食品を食べると、クレアチニンの前駆物質が増加し、血中クレアチニン値が一時的に上昇することがあります。 | ||||||||
| 運動 | 上昇 | 激しい運動を行うと、筋肉の代謝が活発になり、生成されるクレアチニンの量が増加し、値が一時的に上昇することがあります。 | ||||||||
| 水分摂取量・脱水 | 影響 | 水分摂取量が少なく脱水状態になると、血液が濃縮され、見かけ上クレアチニン値が高くなることがあります。 | ||||||||
| 生成量の差 (時間帯) | わずかな変動 | 一般的に、日中の活動時間帯にわずかに高くなり、夜間や早朝にやや低くなるという報告もありますが、その変動幅は比較的小さいとされています。 |
📌 ポイント: クレアチニンの日内変動は、腎臓の病気による大きな変動に比べると軽微なものがほとんどですが、診断や経過観察の際には考慮に入れる必要があります。
3. 検査を受ける際の注意点
腎機能の正確な評価のためには、できるだけ条件を一定にして採血を行うことが重要です。
原則として空腹時に測定: 食事(特に肉類)の影響を避けるため、通常は朝の空腹時に採血を行います。
激しい運動は控える: 採血前の数日間は、激しい筋力トレーニングや運動を避けるよう推奨される場合があります。
採血時間帯の統一: 経過観察で定期的にクレアチニン値をチェックする場合、できる限り同じ時間帯(例:毎回午前中など)に採血を行うことで、日内変動の影響を最小限に抑え、より正確に腎機能の変化を捉えることができます。
十分な水分補給: 脱水の影響を避けるため、適切な水分補給を心がけましょう(ただし、直前の大量摂取は避けて医師の指示に従ってください)。
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🌟 まとめ
クレアチニンは腎機能のバロメーターであり、健康維持に欠かせない重要な指標です。
日内変動があるからといって過度に心配する必要はありませんが、正確な値を把握するためには、採血前の食事や運動に注意し、決められた時間帯に検査を受けることが大切です。