2025/11/1
漢方相談で透析回避へ タカキ薬局の漢方相談
腎臓を守り、透析を避けるための道しるべ
慢性腎臓病(CKD)と診断され、将来の透析という言葉に不安を感じていませんか?
「eGFRが下がってきている」「クレアチニンの値が高い」—これは、腎臓が発するSOSのサインです。しかし、絶望する必要はありません。多くの場合、腎臓病の進行を遅らせ、透析開始までの期間を延ばしたり、透析を回避したりすることは可能です。そのカギを握るのが、ご自身のeGFRとクレアチニンの値を理解し、具体的な行動に移すことです。
このコラムでは、腎臓の働きを示す重要な指標を理解し、透析を回避するために今日から始められる具体的な生活改善策、そしてそれらに伴うメリットとデメリットを、わかりやすくお伝えします。
1. 腎臓の健康を測る二つのバロメーター:eGFRとクレアチニン
腎臓病の進行度を把握し、対策を立てるために、まずはご自身の検査結果に書かれているeGFRとクレアチニンという二つの指標を正しく理解しましょう。
eGFR(推算糸球体ろ過量:Estimated Glomerular Filtration Rate)
eGFRは、腎臓が1分間にどれくらいの血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として排出できるかを示す、腎臓の働きを測る最も重要な指標です。
意味合い:
健康な成人で約100 ml/分程度とされます。
値が低いほど、腎臓の機能が低下していることを意味します。
CKDのステージ分類に使われ、透析開始の目安を判断する際の重要な参考値となります。
透析回避への意識:
eGFRが30 ml/分を下回ると、進行した腎不全と見なされ、透析導入に向けた準備が必要になる場合があります。
eGFRを下げないことが、透析回避の最大の目標です。
クレアチニン(Creatinine: Cr)
クレアチニンは、筋肉の活動によって作られる老廃物の一種で、通常は腎臓によって血液中からろ過され、尿中に排出されます。
値が高いほど、腎臓のろ過機能が低下し、血液中に老廃物が溜まっていることを示します。
eGFRは、このクレアチニンの血中濃度や年齢、性別などから計算して算出されます。
透析回避への意識:
クレアチニンは食事や運動の影響を受けやすいものの、高値が続く場合は腎機能の低下が進行しているサインです。
特に糖尿病の方は、血糖コントロールの良し悪しがクレアチニン値に大きく影響します。
2. 透析回避のための具体的な行動策:腎臓に優しい生活へ
腎臓病の進行を遅らせるためには、ただ薬を飲むだけでなく、日々の生活習慣を根本から見直すことが不可欠です。
腎臓の負担を減らし、残された腎機能を守るための具体的な行動策をリストアップします。
🚨 最重要行動:食事療法の実践腎臓は、食事から摂取した栄養素の残りかす(老廃物)を処理する臓器です。食事内容を見直すことが、最も直接的な腎臓への負担軽減になります。塩分(ナトリウム)制限:
目標: 1日6g未満(重度の場合は医師の指示に従う)。行動: 減塩醤油、出汁や香辛料(レモン、生姜など)の活用、加工食品や外食の頻度を減らす。タンパク質制限:目標: 医師や管理栄養士の指示に基づいた適切な量を守る。行動: 肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質を過剰に摂取しない。低タンパク質米などの専用食品を検討する。カリウム、リンの管理:行動: 茹でこぼしや水にさらす調理法でカリウムを減らす。加工食品や乳製品、インスタント食品などを控え、リンの摂取を抑える。
💊 必須行動:適切な病態管理と服薬腎臓病は、しばしば高血圧や糖尿病といった他の生活習慣病と密接に関連しています。血圧のコントロール:行動: 医師の指示通りに降圧剤を毎日欠かさず服用する。
家庭で毎日血圧を測定し、記録して診察時に見せる。
目標: 一般的に130/80 mmHg未満が望ましいとされますが、個々の目標値は医師に確認してください。血糖のコントロール(糖尿病性腎症の場合):
行動: 医師・管理栄養士の指導に従い、血糖降下薬やインスリン療法を正しく継続する。
目標: HbA1cの目標値を守り、腎臓に負担をかける高血糖状態を防ぐ。
🚶 日常行動:運動と禁煙適度な運動は、血流を改善し、血圧や血糖のコントロールを助け、腎臓に良い影響を与えます。適度な運動:行動: 無理のないウォーキングや水中運動などを毎日30分程度行う。
注意: 激しすぎる運動はかえって腎臓に負担をかける可能性があるため、主治医に相談して許可を得ましょう。禁煙:
行動: 直ちに禁煙する。タバコは腎臓の血管を収縮させ、腎機能低下を加速させる最大の要因の一つです。